クィア学会第4回研究大会
http://www.queerjp.org/index.html
会場:中央大学(多摩キャンパス)
東京都八王子市東中野742-1
日程:2011年11月12日(土)-13日(日)
シンポジウム「3.11以後のクィア」
日時:11月12日(土) 13:00~16:00(開場12:00)
場所:中央大学多摩キャンパス 3号館 3115教室
シンポジスト:
内田有美さん(性と人権ネットワークESTO)
高橋準さん(福島大学行政政策学類 教員)
堤愛子さん(町田ヒューマンネットワーク/DPI女性障害者ネットワーク)
新田啓子さん(立教大学文学部文学科英米文学専修 教員)
司会:菊地夏野(名古屋市立大学 教員)
シンポジウム趣旨:
今年3 月11日の大地震と津波、およびそれに続く原発事故の中で
わたしたちは不安と焦りのなかにいる。これまで見えにくかった様々な
問題--都市中心の社会経済、自然を外部化することで成り立つ経済発展、
政府と大企業の利益のために動く多くのマスコミと学者--が噴出してきた。
一方で、若い世代の脱原発の動きが広がるなど、新たな変化も現れて
きている。
しかしこのようななかで、クィアというスタンスに可能性を感じて
研究や活動、日々の実践を行っているわたしたちはどのような位置に
あるのだろうか。震災直後には、「クィアどころではない」という
言葉が単に軽率と切り捨てられない切迫感を持って発された状況も
あった。だがそのような言葉は何を隠しているのだろうか。
ジェンダーやセクシュアリティの視点が切り捨てられるときには、
それらは些末な、ミクロな問題であり、より大きな社会構造の問題より
後におかれてよいという了解がある。このような了解こそ、
性に関わる問題を軽視し、再生産させてきたものだ。
原発事故はいまだ収束を見ず、現地の復興を遅らせている。
現地住民はいうまでもなく多くのひとびとが「日常」に返ることを
拒まれ、「日常」に返ることをためらっている。そして、この状況が
もたらす不安は、ひとびとを「安心」の追求に向かわせ、
その「安心」は日本社会に制度化された、異性愛主義的な「普通」の
生活によって保障されると期待されている。
このようなジレンマの中で、あらためてクィアを名乗る場で何を
語り得るのか、何を語り、何によって他者に、社会に関われるのか
互いの話に耳を傾ける時間としたい。パネリストにはそれぞれの
立場から、問題提起を依頼した。今回のテーマはとりわけ現在進行形の
ものであり、ひとつのまとまった結論を期待できるものではない。
わたしたちがときに後回しにせざるを得ない不安や恐れ、
疑問を言葉にし、対話につなげることができれば、現在の困難な状況を
少しでも切り開きひとりひとりがクィアという言葉に新たな可能性を
発掘することが出来るかもしれない。
〈シンポジスト・プロフィール〉
内田有美(うちだ ゆみ)さん
大学在学中からGIDの社会的問題に関心を持ち、「GID当事者と
非当事者の社会でのより良い共生」をテーマに研究を行う中で、
性と人権ネットワークESTOに参加する。宮城学院女子大学大学院
人文科学研究科生活文化デザイン専攻修士課程修了。修士(生活文化
デザイン)。2011年から性と人権ネットワークESTO仙台交流会
スタッフとして活動を始める。
高橋準(たかはし じゅん)さん
福島大学行政政策学類教員。社会学専攻。2011年6月よりふくしま
女性フォーラム代表。3月11日は福島市金谷川の職場で被災。
著書:『ジェンダー学への道案内』(北樹出版)、『ファンタジーと
ジェンダー』(青弓社)、訳書(共訳および監訳):マギー・ハム
『フェミニズム理論辞典』(明石書店)
堤 愛子(つつみ あいこ)さん
脳性マヒ、車いす使用のピア・カウンセラー。70年代後半より
女性障害者の問題や優生思想の問題に取り組む。1986年、国内の
女性障害者と共に「DPI女性障害者ネットワーク」を設立。
1989年、地域の仲間とともに自立生活センター「町田ヒューマン
ネットワーク」を設立し、「エンジョイ!自立生活」を合言葉に、
障害者の地域生活のサポートを行っている。現在は、同センターの
副理事長兼「ヘルパーステーション・マイライフ」所長。共著に
「女たちのリズム」(現代書館)、「女たちの反原発」(労働教育
センター)、「優生保護法が犯した罪」(現代書館)などがある。
新田啓子(にった けいこ)さん
立教大学文学部教員、同大ジェンダーフォーラム所長。研究分野は
アメリカ文学、文化理論。研究領域は、19世紀以降のアメリカ小説
および批評、フェミニズム・ジェンダー思想、黒人研究一般、現代
アメリカ文化論。研究対象はガヤトリ・スピヴァクやジュディス・
バトラーを中心としたアメリカ・フェミニズム、ジェンダー思想の
理論的検討、モダニズム期を中心とした黒人文学ならびにラップ・
ミュージック、現代アメリカにおける暴力と軍事文化。