セクシュアリティに関する用語集です

 

 セクシュアリティに関する用語の解釈は、様々な書籍・各団体の資料・個人の捉え方によって異なっています。掲載している用語解説は、ESTOとしてまとめたものです。(2005.10.15〜、2006.6.16改定版)

セクシュアリティ(Sexuality)
「人々があるモノ・コトを性的と感じている事態そのもの」を指している言葉です。生物学的な性別、性自認、性的指向、性的嗜好、生殖・・・などの様々な概念が含まれています。
1999年の世界性科学会議(香港)で採択された「性の権利宣言」は、以下の文章から始まっています。
“Sexuality is an integral part of the personality of every human being.”
(セクシュアリティとは、人間ひとりひとりの人格に不可欠な要素である)
生物学な性別(Sex)
身体の性別は、外性器・内性器・生殖腺・性染色体などが組み合わさって決められます。 母子健康手帳を見ると、出生時の性別は“男・女・不明”の3つを選択できますが、出生届では “男・女”のどちらかを選ぶことになり戸籍に続柄として記載されます。
性自認(Gender Identity)
自分の性別をどう感じるかということ。日常生活では、トイレに入るとき、申請書を書くとき、アンケートに答えるときなど、アナタが女性であるか、男性であるかを問われることがあります。
“男性と女性しかいない”と考えられがちですが、男性、女性、中性、無性、そのときによって性別が変わると感じる人など、一人ひとり自覚する性別の認識は異なっています。
性的指向(Sexual Orientation)
異性を好きになる人、同性を好きになる人、性別に関係なく好きになる人、あまり性的な欲求を感じない人など、“どんな対象に性的な興味が向いているか?”を表わす言葉です。 なお、性同一性障害の場合は、異性・同性の認識が逆転するため、男性・女性のどちらに向くかを問われます。
 ・男性に性的魅力を感じる ・両性ともに性的魅力を感じる    
 ・女性に性的魅力を感じる ・両性ともに性的魅力を感じない
   (DSM−IVによる GID の診断・分類基準より)
ジェンダー(社会的に作り出された男女の違い)
男女の性別に対する固定的な考え方や役割を表す言葉です。“女らしさ/男らしさ”は生物学的な性 (セックス)によって決められていると考える人もいますが、成長によって身につけたり、教育によって刷り込まれたりする“女らしさ/男らしさ”もあります。
・ジェンダー・プレゼンテーション(体や外見によって表現される性別)
・ジェンダー・ロール(社会的な性別役割)
・ジェンダー・アイデンティティ(性別の自認)
LGBTI
セクシュアリティを表すアルファベットの頭文字を綴った言葉です。 「L」を先頭にしているところが多く見られますが、異なることもあります。
L=レズビアン G=ゲイ B=バイセクシュアル 
A=アセクシュアル H=ヘテロセクシュアル
T=トランスジェンダー I=インターセックス  
Q=クィア/クエスチョン 
※ESTOのサポート対象から並べていくと、TILGBAQHといった順番も考えられます。
レズビアン(Lesbian)
女性を恋愛や性愛の対象とする女性。古代ギリシャの女性詩人サッフォーが、レスボス島で女性の共同体を作ったことがレズビアンの語源と言われています。
ゲイ(Gay)
男性を恋愛や性愛の対象とする男性。陽気な・前向きなという意味を持つ「ゲイ」という言葉を、自己肯定と尊厳回復の運動の中で使ったことから始まった呼び方です。
ホモセクシュアル(Homosexual)
同性を恋愛や性愛の対象とする性的指向を持つ人。
バイセクシュアル(Bisexual)
異性と同性、または男性と女性の両方を、恋愛や性愛の対象として惹かれる指向性を持つ人です。その他にも、異性と同性の概念を超えて、セクシュアリティに関係なく惹かれる指向性を持つとして、パン(凡)セクシュアルなどの呼び方もあります。
アセクシュアル(Asexual)
性的欲求をあまり感じない、または性的欲求そのものがない人、男女のどちらも性愛の対象としない人などを指す言葉です。エイセクシュアルなどの呼び方もあり、個人によってその指向性も多様です。
ヘテロセクシュアル(Heterosexual)
異性を恋愛や性愛の対象とする性的指向を持つ人。性同一性障害などのように自分と他人から見る異性と同性の概念が異なっている場合には、身体的に同性であっても異性関係と考えます。
性同一性障害(Gender Identity Disorder)/トランスジェンダー
性同一性障害は、身体や戸籍の性別が“自分の性別ではない”と感じるために社会生活が困難になっている状態につけられた疾患名です。2004年に戸籍の性別を変更できる法律が日本にも出来ました。 トランスジェンダーは、性別を変更したり、変更したいと感じている人達の総称です。手術によって 身体(セックス)を変えたい人、社会的な性別役割(ジェンダー)を変えたい人、たまに服装を変えるだけでも良い人などがいます。国内に7,000人程度は居ると言われることから、20,000人に1人くらいの出生率ではないかと推測されます。
 FtM(female to male)女性から男性へ
 MtF(male to female)男性から女性へ
 TS(Trans Sexual)強い身体違和感があり、手術によって身体を変えたいと望む人、 または変えている人
 TG(Trans Gender)狭義の意味では、公的書類上の性別や性別役割に違和感があり性別を変更して生活 を送っているが、手術によって身体までは変える必要を感じていない人
 TV(Trans Vestite)性別への違和感を、異性の服装をすることで緩和している人
 <性別変更の参考例>  精神科での診断 → 性ホルモン投与 → 性別適合手術 → 戸籍性の変更
半陰陽/インターセックス/性分化・発達障害(DSD)
身体の性別が典型的な男女のどちらかではない状態で生まれた人で、母子健康手帳では出生時に “不明”とされることがあります。また、第2次性徴で戸籍とは違う性別の特徴が現れることもあります。2,000人に1人の出生率と言われますが、両性具有である人は稀で、その人によって様々な身体状態となっています。
なお、性別を変更する人は少数で、ほとんどの人は戸籍に登録された性別で過ごしています。半陰陽を含んだより広い意味を持つ言葉としてインターセックスが使われていますが、「男でも女でもない性」というイメージは実際の当事者の姿を正しく伝えることが出来ないとして、「性分化・発達障害」(DSD)への 用語変更の動きがあります。
「インターセックス」から「性分化・発達障害」へ(macska dot org)
クィア(Queer)
Queer(原義は、「奇妙な」「変態」など)は、男性同性愛者や偽造酒を指す言葉として発生し、 19-20世紀にかけてはセクシュアルマイノリティに対する蔑称や差別用語として使われていました。 1990年代になって、侮蔑用語であった「クィア」をセクシュアルマイノリティが自己肯定的に用いる ようになり、その意味や内容が発展的に使われています。
クエスチョン
セクシュアリティが良く分からない、分類できない。あえて、カテゴライズする必要を 感じないといったことから自称として使われることがあります。
多様なセクシュアリティ
「性のグラデーション」という言葉があるように、セックスもジェンダーも「男性」と「女性」に明確に分けられるものではなく、性の状態は一人ひとりによって様々に異なっているといわれています。 グラデーション(しだいに色が変化すること)には順序・等級などの意味もあるため、最近ではスペクトラム(連続体)という言葉も使われるようになりました。どちらも性は単純に分けられるものではなく、連続的に変化していくものだということを表しています。
多様な性的指向
男性(女性)だったら女性(男性)を好きになるのが当たり前と考えられていますが、異性に向くヘテロセクシュアル、同性に向くホモセクシュアル/レズビアン・ゲイ、異性・同性のどちらにも向くバイセクシュアル、性的欲求をあまり感じないアセクシュアルなど、性的指向は多様です。身体から見て同性/異性、性自認から見て同性/異性が異なることもあり、相手との関係性によって性的指向が変化することもあります。
『世界がもし100人の村だったら』の中には、「100人のうち90人が異性愛者で、10人が同性愛者です」と書かれています。同性愛である人は、人口の3%〜10%といった調査結果もあります。30人〜50人に1人と考えると、身近には多くの同性を恋愛対象とする人達が存在することになります。 (池田香代子/再話 C.ダグラス・ラミス/対訳 『世界がもし100人の村だったら』マガジンハウス 2001年)
同性間パートナーシップへの法的保障を認めている国や州・市
婚姻(法的結婚):オランダ・ベルギー・スペイン・カナダ・(現在,南アフリカが審議中) 婚姻に準じた法制度:デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・アイスランド・ ドイツ・フランス・スイス・イギリス・ポルトガル・リヒテンシュタイン・ イタリア(一部)・ハンガリー・スロベニア・クロアチア・ニュージーランド・ オーストラリア(一部)・ アメリカ(一部)・ブラジル(一部) 婚姻に準じた実体的保障:チェコ・ポーランド・イタリア(一部)・オーストリア・ オーストラリア(一部)
オカマ
現在は、単に女装した男性や女性っぽい男性を指しますが、戦前と戦後のかなり長い間は、専ら男性相手に売春を営む男性を特に指しました。この語から売春の意味が落ちるのは早くて70年代後半、遅くて90年代初頭です。最近ではゲイが自尊的にオカマの語を使用する場合もあります。ただし、あくまで自称であり、他人から言われて不快と思う人が、女装者やMtFの間で多いのもまた事実です。
異性の服装・または性別を変更して行う接客業
ニューハーフ・ミスターレディ(女性を演じる男性として) オナベ・ミスダンディ(男性を演じる女性として) ※ 性同一性障害や同性愛の人達だけでなく、就労している人達のセクシュアリティは様々です。
性別を変える手術
SRS (Sex Reassignment Surgery):性別適合手術,
GRS (Genital Reconstruction Surgery):性器再構築手術
これまで性転換手術と呼ばれてきた性別を変える手術は、日本では性別適合手術と呼ばれています。 しかし、実際に行われるのは「性器の再構築」という形成外科手術であって、身体の性を根本的に変えるものではありません。近年英語圏では、GRS=性器再構築手術の呼び方が使われるようになっています。(中村美亜 『心に性別はあるのか?〜性同一性障害のよりよい理解とケアのために〜』 医療文化社 2005年)
戸籍の続柄の訂正および変更
1)戸籍法 第24条(職権による戸籍の訂正)  
・戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があること 2)性同一性障害者性別取扱特例法(2003.7.16)  
・国内の2名の精神科医の診断があること。  
・20才以上であること     
・子が成人していること  
・婚姻していないこと     
・生殖線が除去されているか、生殖能力を失っていること  
・外性器の状態が、身体の性別とは異なる他の性別の身体に近似していること
※ トランスジェンダーの人権擁護のために、手術を受けないで書類上の性別変更が可能となる国があります。法律で生殖能力を失うことを強制することは倫理的、人道的に問題があることではないのでしょうか。また、同性婚や同性パートナーシップ制度などの実現による婚姻要件の削除など、性別変更後も家族関係が守られることが求められます。
カミングアウト
秘密にしていたことを告白すること。自分がマイノリティ(少数者)であることを言わず、日常生活を過ごしている状態をクローゼットといいます。カミングアウトは、「Coming Out of the Closet(押入れの中から外に出ること)」を短縮した言葉です。また、カミングアウトしたことによって相手との関係性を変えていくことまでを含んだプロセス(過程)も考えながら使われています。
ポリガミー/モノガミー
どちらの志向性も間違いではなく、個人のセクシュアリティによって異なっています。 複数を同時に恋愛対象に出来る人もいれば、1人だけを恋愛対象とする人もいるということです。
ポリガミー:一夫多妻制または一妻多夫制を指す言葉  モノガミー:一夫一婦制を指す言葉
ジェンダーフリー
男女の性別に対する固定的な考え方など、役割に対する押し付けや縛りから自由になることを指している言葉です。人間を中性化したり、ジェンダーを無くすことではなく、ジェンダー・バイアス(縛り)からの解放を意味しています。
セクシュアル・ハラスメント
心を傷つけたり、不快にさせたりすることも含む、性的な言動、性的な嫌がらせなどで不利益を生じ させることを意味する言葉です。主観的に不愉快だと感じることで成立します。 セクハラとして微妙だと思われる嫌がらせは、ジェンダー・ハラスメントの場合もあります。
ホモフォビア
同性愛恐怖症・同性愛嫌悪。同性愛者に対する無知と偏見による差別的な感情です。「異性愛者を基準とした社会システム」が崩されることや「異性を愛することが正常」といった思い込みやアイデンティティを揺るがされることへの恐怖感によって引き起こされると考えられています。
ヘイトクライム
憎悪犯罪。人種、肌の色、出身地、性別、性的指向などを理由に引き起こされる殺人・暴行などの 犯罪です。アメリカだけでなく、日本でも起こっています。同性との恋愛、性別を変更していること、性別が曖昧に見えることなども加害の対象となっています。
ステレオタイプ
型にはまった画一的で固定的な考え方、物事の見方や先入観を差します。 多くの場合、客観的な事実ではなく、感性や感情的判断をもとにした態度や考え方などを言います。 それは、誤解を生み、偏見の原因となることから、否定的に捉えられることが多いようです。 トランスジェンダー、ゲイ、レズビアン・・・とは、○○な人と決め付けて考えられることがありますが、それは一面的な見方でしかありません。ステレオタイプに無理に自分を押し込めることなく、オリジナリティのある自分をであることが大切です。
偏見
十分な証拠のない、偏った否定的な決めつけを差します。個人や集団に対して使われることが多く、 少ない情報で判断してしまう否定的な態度や意見となって現れます。「偏見」が行動や言動になって現れたものが「差別」です。同性愛や異性の服装をすることは趣味で行うもの、男性や女性はこうあるべきなど、性や性別に対する思い込みによって、多様なセクシュアリティを肯定的に受け入れられない人達がまだまだ多い現実があります。
人権週間
12月4日〜12月10日は人権週間です。法務省の人権擁護機関が行う啓発事項には、「性的指向を理由とする差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」も挙げられています。
人権擁護局ホームページ「人権週間」
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